2022年春・ブロックチェーンEXPO 潜入レポ❺
こんにちは、マスオです。今回は5月11日~13日の3日間に東京ビックサイトで開催された『ブロックチェーンEXPO』の潜入レポの最終回になります。
今回は最後ということで、紹介しきれなかった企業さん3社。そして数々のセミナーに参加した内容から、今回のEXPOで見えてきたことを紹介させていただきます。ではこちら。
❶OVO(オーヴォ)
こちらは、業界初のホログラフィックNFTのプラットフォームを運営する企業で、実は日本では最大手と言われています。
『ホログラフィック』というのは、3次元のデータを投影する技術のこと。今までのNFTは2次元の画像がメイン、3次元があったとしてもマインクラフト的な"カクカク”のボクセルアートでした。それとはちがい滑らかな実写に近いものをNFTで再現できるようです。
では、実際にどんなものを再現しているのか。それが
すでにこちらの7人のグラビアアイドルNFTがFLOWチェーンで販売されたそうです。(ちなみにFLOWチェーン内で最高5位を記録)
それと、LINEスタンプで人気のキャラクター『にゃっちーず』もBNBチェーンで発行されて、これもホログラフィックになっています(笑)
3次元ホログラフィックにする意味色々ありそうですが、メタバースやゲーム領域が色が濃そうですね。
❷サラス(SAMURAI Security)
こちらは、遺産相続の終活のプラットフォームだそうです。なんと法的効力のある遺書をブロックチェーン技術で作成できます。これなら改ざん不可能というわけです。
そして、遺産相続で煩わしい印鑑手続きなどを電子化でき、遠隔地であっても相続手続きがオンラインで完結するそうです。
生前に契約をすることで、「財産信託」や死後の「事務委任契約」が行えて、トラブルも未然に防ぐことができる。
ブロックチェーンの使い道がこんなところにもありました。
❸AMBER(アンバー)
こちらの企業は、最後に滑り込みでお話を聞かせてもらいましたが、かなり規模の大きい企業ということが垣間見られます。
こちらの会社は、仮想通貨を触っている人なら聞いたことがあるかもしれない国内の取引所『ディーカレット』
を、今年の2月に買収したシンガポールのユニコーン企業だそうです。すでに時価総額1000億円を超えて、扱い資産額が5000億円とのこと。
そんなアンバーグループが構築を目指すのが『Openverse』。なんだ?メタバースか?そのとおりです。こちらは5月に立ち上がったばかりの企業やブランド、クリエイター向けのWeb3対応プラットフォームなのだそうです。具体的にどんなメタバースを目指すのか。説明を抜粋します。
『ゲームスタジオ、スポーツブランド、デジタルアーティスト、クリエイターとの強力なパートナーシップを構築……これにより、より多くのWeb2ユーザーがメタバースに参入可能……モバイル、デスクトップ、VRプラットフォームでアクセス可能。』
どうやら既存の社会を仮想空間に移行させるお手伝いといったところでしょうか。提携先はそうそうたるWeb2企業・・・(下記参照)
メタバースと言われても、ゲームの延長線、絵空事にしかまだ思えない世界観を、今後形作っていくいく企業のようなので、チェックしておいて損はなさそうです。
以上、今回のブロックチェーンEXPOは出展企業のボリュームも増え、この半年間の時計の針の進みがいかに速いかを改めて実感しました。
最後に所感を箇条書きで書き連ねて終わります。
・まずは企業にWeb3とは何か、NFTはどういう可能性があるのか、という啓蒙のためのコンテンツが多かった。
・前回は「世界展開」を視野に入れていた国内企業が、一度海外展開を封印する動きがあった。(規制などの関係で)
・逆に法律の縛りがガチガチではなくゆるやかなためか、日本国内にサービスを展開する海外企業が大幅に増えた。
・Web3を目指す流れはあるけれど、しばらくはブロックチェーンの機能面を取り入れただけで、まだまだ中央集権的な構造は変わりそうにない。
・特にNFTは「改ざんできない」「資産性がある」「唯一無二のデータ」という付加価値だけで販売される段階。このタイプのNFTは流行の1つで終わる可能性がある。
・それに対してカルダノ、ALGOなどの規模の大きいブロックチェーン発のNFTは企業NFTと対照的で、個人クリエイターが主役。ブロックチェーンの将来的な成長も見込まれる分、リスクをとってたくさんのチャレンジが見られる。
・少し特殊だったのがOpenSkyBlueという、NFTをDAO(自律分散型組織)で運営するやり方。一般企業とは違ったことに取り組んでいる印象があった。
・ブロックチェーンとSDGsの接点が何カ所でも見られ、この時流に乗っていることからも普及は間違いなさそう。
・大手企業がブロックチェーンを安全に取り入れられるようにするためのサービス、開発者の人材難を穴埋めするようなサービスが増えた。
まとめると、今「Web3」という言葉がどんどん広まっていますが、まだ試しに仮想通貨を導入してみたり、NFTを売ってみたり、「メタバースに展開する」と言ってみたり・・・。
実際は企業がWeb3を収益アップのためのツールとして使おうとしているのが分かりました。そもそも企業というのは、利益を追求する組織であるため、当然と言えば当然かもしれません。
なので「Web3って言っていたけどWeb2のままだね」と気づいてからが本当のWeb3のはじまりかもしれません。
今後「"Web3”と言った方が消費者の共感を得やすい」と言い出す時期が来て企業が権限を弱めていけば「Web2.1、Web2.2・・・」と少しずつ変わっていくんじゃないか、と思いました。
でも半年前に比べると、企業の乗り出し方が違ってきているのを感じましたし、日本が世界の流れに遅れてはいけない。日本の強みを生かしていきたい。そんな気概を感じることができた、興味深いEXPOでした。
たくさんのお話を聞かせていただき、とても勉強になりました。改めてブースを開いてくださった皆様、セミナーの講師の方々に御礼申し上げます。
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