2022年春・ブロックチェーンEXPO 潜入レポ❹
こんにちは、マスオです。今回も先週5月11日~13日の3日間に東京ビックサイトで開催された『ブロックチェーンEXPO』というイベントの潜入レポの続き、第4弾です。
今回は『企業✖ブロックチェーン』の未来が見えてくる3つの企業を紹介していきます。
❶『Mercari』(メリカリ)
国内の大手中古品販売プラットフォーム『メルカリ』も、実はブロックチェーンについては社内で4年近く実験をしてきた企業だそうです。しかし2018年の仮想通貨相場の下落を受けてブロックチェーン導入を見送っていた経緯がありました。
(以前考案されたアプリMercariXについてはこちら参照↓)
今は暗号資産交換業としてのライセンスを取得しているところで、いつかメルカリでも決済にビットコインなどの導入を目指しているとのことでした。(例えば、売却益4000円を、日本円3000円とBTC1000円で受け取り、とか。)
そして、メリカリは現在実物アセットがメインですが、NFT分野に参入予定だそうで、昨年2021年末にプロ野球のパ・リーグと一緒に動くことが決定しました。
アメリカのバスケットボールのプロリーグで導入された「NBAトップショット」という選手の名シーンを NFTにするコレクションをモデルにこのパ・リーグでも導入。
今コロナで来場者数が厳しい中でファンとのエンゲージメント(帰属意識)を維持して高めるためにはこのNFTは最適だ、ということで話が進んでいるようです。
ちなみにこのパ・リーグをテーマにしたNFTプロジェクトについてはメルカリは独自チェーンじゃなく、まさに先ほど登場したNBAトップショットでも使われたFLOWチェーンを採用予定とのこと。
1つの通貨にこだわらずに他のパブリックチェーンも取り扱う『マルチチェーン展開』を予定していて、ゆくゆくはメリカリ独自の暗号資産取引所を開設して、金融や寄付などの分野に進出予定だそうです。
その普及の鍵を握っているのはやはり「ウォレット」。今後の国内の確定申告もしっかり合わせて行えるように、という課題を乗り越えていきたい、とのことでした。
メルカリユーザー数は今でも2000万人を超えているそうで、ブロックチェーンを日本の大衆に普及させるために大切な役割があり、今後の動向には目が離せません。
❷Bitgate(ビットゲート)
こちらはBitgateという仮想通貨取引所の営む企業。連日こちらの企業のプレゼンターが何度も熱弁をふるって人集りを作って注目を集めていたブースの1つでした。
何が注目されていたのかというと、ポイントがあり過ぎて全てを紹介しきれませんが、この企業は取引所というよりも企業サポートに戦略をもっていて、今回は3つだけに絞ります。
1.ポイントを暗号資産に
私たちが普段コンビニや小売店で買い物する際に使用するポイントカード。このポイント文化が根強い日本で、このポイントを暗号資産に換金する、という切り口で仮想通貨を企業が導入する仕組みを、このBitgateは提供しています。
また、他にも例えば大企業が社内にポイント制度を導入して、それを社内だけで使うのではなく、暗号資産に換金できるような仕組み。こういう社内制度をも導入できるそうです。
主に2つありましたが、前者は「お客のインセンティブ」後者は「社員のインセンティブ」を作る面白いサービスだな、と感心して見ていました。
2.IEOのコンサルティング
IEOというのは 「Initial Exchange Offering」の略で、要は取引所の審査を通して暗号資産銘柄を上場させる仕組みです。
従来企業が資金調達のために取る方法はIPO(新規上場株式)でしたが、それをするためにはだいたい3〜8年かかるのだそうです。しかもIPOは経営権を分与するというデメリットもあります。
しかし、IEOという暗号資産取引所を使った資金調達では、そこまで長い年月がかからずに、しかも経営権を損ねることもなく資金調達力ができるメリットがあります。
このIEOで国内取引所コインチェックから昨年上場したのがあのPLT(パレットトークン)
この効率的で魅力的な資金調達手法のお手伝いもこのBitgateさんのお仕事だそうです。
ただ、今日本で暗号資産を上場させるには、JEVCAという業界団体で審査にかけて、それに通らなければ国内上場はできません。
しかもその審査にかける銘柄も取引所1社につき2件まで。こうなってしまうとIEOをいくらしたくてもできない。なかなかの激戦、狭き門、順番待ちなわけです。
ですがどうにか別の方法でかいくぐることができないか。ということでその方法の1つとして、「急がば回れ」。海外での上場を先に目指すこと。そしてその実績を元に国内での上場を目指す方法です。
最近バイナンスに上場したAstarという日本人が開発したブロックチェーン企業の発行した仮想通貨も、まず先に海外を目指したのはこういう背景のようです。
以上、このBitgateの2つ目の事業の柱は資金調達のお手伝いでした。
3.ローカルNFT
そして、最後が今までとかなり様相が変わるのですが
『ルーラNFTとは、日本全国にある観光地、温泉地、特産品などの観光資源と、キャラクターやアイドルなどの様々なコンテンツ(IP)とコラボすることで幅広い世代にリーチできる「観光×エンタメ」に特化したNFT』
上記サイトではこのように説明されています。このプロジェクトにもBitgateが一枚噛んでいるようで、EXPOでは何やらアイドル風の女性がブースでチラシを配っていました。
要は「地域活性とトークン・NFTを通じて、誰でもIPを作ったり、アイドルになれる」みたいなお手伝いと言えばいいでしょうか。こういう切り口は今後どんどん増えていきそうです。
以上、Bitgateさんの3つの事業を紹介しましたが、なかなか痒いところに手が届く、そんなサービスの数々でした。
❸Amazonブロックチェーン
今回のEXPO2日目のセミナーで、あのAmazonがついに登場。
講演の前半は「海外のNFT市場」について、後半は「Amazonの提供するブロックチェーン」について取り上げられていました。今回はその後半について概要を触れたいと思います。
簡単に言うと、Amazonは企業がブロックチェーンの面倒なシステム構築から解放されるような「フルマネージド」されたサービスを提供するとのこと。
たとえば、イーサリアムなどのパブリックブロックチェーンからハイパーレジャーファブリックという企業向けのブロックチェーンまで、企業が選べるようなサービスを提供します。
すでにAmazonブロックチェーンは、インドの巨大情報系コンサル企業「Tech Mahindra」を通じてマーケットプレイスの運営でも使われていて、仮想通貨も法定通貨も扱えるような仕様になっていました。
以前このブログでもXDCPayというウォレット上でクレカを使って仮想通貨購入ができたことをお伝えしましたが、その時に使われていたSimplexのオンランプ・オフランプ機能(法定通貨でアクセスすること)が、このAmazonブロックチェーンにも使われていました。
ブロックチェーンを扱うからには、ユーザーがどう法定通貨からアクセスできるかが重要になりますが、この部分をAmazonは様々な技術を使って解決しようとしています。
そしてもう1つの課題。今の仮想通貨というのは企業が安全に導入するには敷居が高く、その参入障壁を低くするためには、メリカリでもお伝えしたようにウォレット管理が重要になります。
特に企業のカストディ(財産管理)というのは人による作業上のミスでのGOX(資産紛失)など、企業ではあってはいけない不祥事をどうするか、ここが焦点になっていきます。
この作業の「属人化」を解消してリスクを最小限にするサービスがダブルジャンプTokyoという企業の提供する「N Suite」という企業も出展していました。
今企業のブロックチェーン導入というのは、このAmazonがある意味「全てを引き受けるから」という、Web3という完全自己主権な路線よりも、“Web2.5”とも言えそうな現実的な路線がしっかり用意されつつあるんだな、ということが見えてきました。
以上、今回はブロックチェーン浸透拡大のための国内事例としてメルカリ、国内外を股にかけるBitgate、海外事例としてAmazonを紹介しました。
次回は、最終回。これまでに紹介しきれなかった部分、半年間の進捗の総括をしたいと思います。ここまでお付き合いありがとうございました。
(最終回はこちら↓↓↓)
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