Weekly XDCダイジェスト vol.㉟ 2022.10.30-11.5
こんにちは。今回は定期コーナー。先週のXDCネットワークの動向についてXDC Foundationがまとめた下のツイートをもとに、わたしなりに日本語で解説を加えながら定期発信する回になります。
仮想通貨XDCについてまだ知らない方の入口にしていただいたり、すでにお持ちの方は最新動向を追うための1つの情報源にしていただけたらと思います。では先日発表された10月30日から11月5日までの動きを紹介していきます。ではさっそく参りましょう!
今回は3つのトピックがありました。太字が直訳部分、その後にわたしが僭越ながら解説を付け加えていきます。
▶▶▶トピック❶『XDCネットワークにCresciteが参加』
……XDC Networkは、前ニューヨーク市長候補が率いるイノベーション企業、Cresciteをネットワーク参加企業として迎えました。
1つ目のトピックは、”Crescite”という企業によるとても斬新で、とても壮大なプロジェクトがXDC Networkに合流したことについてです。
どんなブロックチェーンプロジェクトなのか、について公式ページ(https://crescite.org/)のホワイトペーパーにはこのように説明がありました。
まとめると「信仰×ESG投資×DeFi」というところでしょうか。
斬新な切り口で、いったいどうこれらキーワードが結びつくのか、イメージがわきづらいところです。が、もう少しホワイトペーパーを読み進めていくと見えてきました。箇条書きでまとめてみました。
・世界23億人のキリスト教徒を対象にしたプロジェクト
・信仰コミュニティをDAO(自律分散型組織)化していくことを目指す
・運営するCrescite財団はDAOになった時点で解散する
・ガバナンストークンがあり、ユーティリティ(支払い)にも使われる
・支払いとは「信仰ベースのNFTの購入」「イベントの参加」「パートナーブランド商品の購入や割引」などを計画
・NFTは、宗教上の人物などに焦点を当てたコレクションをリリース予定
・NFTで得た資金を通じてSDGs関連プロジェクトを支援する
・ESG投資に焦点を当てたセキュリティトークンもある
・ガバナンス投票は2種類ある。
①通常のガバナンス投票は「世論調査」目的で行われる
②エグゼクティブ投票は四半期に1回「承認」目的で行われる
・教皇庁と協力してプロジェクト全体を決定、精査していく
・高校生や大学生を対象としたオープンソース教育事業がある
・このトケノミクスを通じてESG投資をグローバル市場にするのが目標
以上、ホワイトペーパーを読むと、なんとなく「信仰×ESG投資×DeFi」というのが結びついてきたように思いました。とても斬新で、壮大ですね。
ちなみに、先ほど触れたガバナンス兼ユーティリティトークンの詳細はこちら。
もちろんXRC20トークンで発行されます。ティッカーコードは「$CRE」。プライベートセールが10月28日から行われていて、下記のXSwap Protocolサイト(https://xdc.sale/crescite)でXDCとスワップ購入することができます。MetamaskとXDCPayが使えます。
今回のこの提携の意味について、CresciteのCEOはこのように語っています。
「ワシントンDCは XDC や Crescite などの組織と協力して、低所得コミュニティに経済的繁栄への道を提供し、貿易を通じて全国的に経済生産を増加させることができると考えています。」
創業者が「元市長候補」ということでしたので、ワシントンDCと協力するビジョンを持っているのしょうか。XDCはワシントンDCを拠点にしていますので、今後都市レベル発展させていくのかもしれません。
なお、創業チームは11月17~18日にペンシルベニア州で開催される世界初の“カトリック暗号会議”で、講演者として参加する予定だそうです。これまた斬新な会議です。
まだ私にはイメージがしづらいですが、壮大なプロジェクトがXDCのエコシステムに参加したこと。それが今回の1つ目のトピックでした。
▶▶▶トピック❷『ブロックチェーンにおける非中央集権の重要性』
……XDC CommunitityのメンバーであるJon McBeeが、Buidl the Future Global Hackathonの参加者に向けて、「ブロックチェーンにおける分散化の重要性」をライブで発表しました。
2つ目のトピックでは、先週、先々週でもお伝えしていたグローバルハッカソンに関連することです。ここでXDCコミュニティからJon McBee氏が登壇した、講演内容について紹介していきます。(YouTubeでもアップされていました)
「いかに分散化が重要か」ということを技術者向けに概論としてお伝えしています。が、開発者とは無縁の私たちにとっても、非常に興味をそそる内容でした。内容を箇条書きで要約してみたので、雰囲気だけでも伝われば幸いです。
●「分散化」とは何か?
・この図は「グラフ理論」と呼ばれる中央集権度合いを定量化するための方法。
・上の図では「つながれた線が多い人、少ない人で差がある状態」。これは分散しているとは言えない。
・一方下のような状態は「分散化している」と言える。
・ブロックチェーンでは「ノードの権限」を例にすると分かりやすいが、もっと広い”分散化”の話をしていきます。
●分散化は新しいことではない
・1万2千年前のコミュニティの在り方は今と全くちがい、100人以下だった。お互いを信頼でき、物々交換でも成り立った社会だった。
・しかし、都市や町が作られ文明が発達すると、コミュニティの数が増えた。
・人間がお互いを信頼し安定した社会を維持できる限界のコミュニティ人数は150人。(これを「ダンバー数」という。下記参照。)
・だとすると、文明の発展と共にコミュニティの秩序は維持できなくなる。
・信頼できるものから信頼できないものへと移行するにつれ、「単一障害点」が発生する。
※「単一障害点(single points of failure)」とは、システムを構成する要素のうち、そこが停止するとシステム全体が停止してしまう部分のこと。(よく出てくる言葉なので解説しておきました)
・そこで副産物として生まれたのが「中央集権化」。その典型が国の登場。
・コミュニティが大きくなると、今までのような信頼し合った間柄での物々交換は成り立たなくなり、やがて「お金」などの統一した価値が必要になる。(その価値の変遷は下のスライドの通り。)
・ただ、国も法律の施行によって中央集権型の社会が逆に混沌を作り、再び「単一障害点」が発生してしまう。
・そこで注目されるのが「分散化」。人類は、分散化→中央集権化→分散化→中央集権化、と繰り返している。
・そして現代社会におけるブロックチェーンの文脈で「分散化」について詳しく見ていく。
●ブロックチェーンにおける4つの分散化とは?
①地理的な分散……1つの管轄区域に存在するノードの数、あるいは1つの国に存在するノードの数の分散性。
②プログラム的な分散……コンセンサス・メカニズムのアップデートなど開発プロセスの分散性。1つの開発グループが過度な影響力を持たないこと。
③経済的な分散……ネットワーク上のトークン保有の分散性。(コア・グループの外部に存在した段階で経済的な分散化が達成される。)
④公共的な分散……ブロックチェーンネットワークの周りに存在する人々のコミュニティの成長。アーリーアダプター、インフルエンサーによる”大きな声”が弱まることが望ましい。(そうでなければ、単一障害点が問題になりかねないから)
・③については、XDCネットワークには“XIP”というプロセスがある。これはイーサリアムなどにもある改善プロセスのこと。
※ Pythonの改善プロセス→ビットコインの改善プロセス→イーサリアムの改善プロセス、このようにフォーク(分岐)して生まれたのがXDCのXIP改善プロセス。
●分散化についてのまとめ
・開発初期段階には中央集権化は必要だが、ブロックチェーンが成功するにつれ、分散型に成長しなければ、また単一障害点が問題になることに注意すること。
・これが私たち全員が望んでいる産業界への導入のハードルになることは間違いない。
・今はブロックチェーンという新しい技術を通じて、分散化の方向に戻るような位置にいる。
・何も暗号通貨の話をしているわけではなく、もっと社会的な影響をもたらすものについて言っている。
・インターネットは当初、非常に非中央集権的だった。しかし、時が経つにつれ、中央集権的になってきた。(今では国が検閲するまでになった)
・本当に分散化されたアイデンティティを証明するためのさまざまな問題を解決することができる。
・単一障害点を取り除かない限り、産業界による大量採用は起こらない。
・分散化が大量採用につながることを、私は本当に信じています。
以上が要約内容になります。
Jon McBee氏のこの内容によって、XDCの目指すビジョンも多くの開発者の方々に伝わったのではないでしょうか。
僭越ながらJon McBee氏の25分くらいの講演を要約をさせてもらいました。節々で端折ってしまった部分にも大きな示唆があり、素晴らしい内容でした。時間があれば全文文字起こししたものを後日ブログで掲載したいと思います。
▶▶▶トピック❸『XDCネットワークにおけるNFTキーによるMultiSigWalletsの管理』
……XDC Networkの開発者であるQuincy Jonesは、XDC NetworkにおけるNFTのユニークな使用例について、Mediumに投稿を掲載しました。
3つ目のトピックは、XDC開発者のQuincy氏によるNFT解説について。
今回は「NFT=キー(鍵)」としても機能する、という話題です。
通常、NFTと言われると「絵」だとか「チケット」だとかをイメージしますが、NFTを”ウォレットのアクセスのための鍵”として使うことができるのだそうです。
そして今回の表題には「マルチシグウォレット」とありますが、これは「マルチ=“複数”」、「シグ=“署名(サイン)”」。つまり、NFTを“複数の署名”にしてウォレットを解錠できる仕組みを実用化できる、ということです。
先ほどの記事から図を抜粋しましたので、これでイメージがわくかと思います。
NFTなどのトークンが入っているウォレットをNFTで開ける、なんとも面白い仕組みです。このウォレットの利点は何か。
「セキュリティを保ちつつ管理権を分散化できる」
たとえば、分散型プロジェクト(dApp、DAO)の資金管理、企業や機関投資家のエスクロー(第三者への取引管理預託)などに使いやすくなります。
あるいは、秘密鍵を紛失した場合の“スペアキー”としても機能させたり、金庫を開けるために別の金庫を開けなければいけない”セキュリティの二重構造”を作ったりすることもできるようです。
この構造をスマートコントラクトで作ることができることを、今回教えてもらいました。
以上、今回は3つのトピックを紹介させてもらいました。
1つ目は、XDCブロックチェーン上に登場した「信仰」ベースのトークンプロジェクトの紹介。2つ目はJon McBee氏の「分散化」についての講演内容。3つ目はQuincy氏による「NFTキー」という用途について紹介しました。次週もどうぞお楽しみに。(前回の記事もぜひご覧ください↓↓↓)
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