ブロックチェーン革命❸
『変わる知的財産』
前回はブロックチェーンによる革命で『著作権が守られる』ということをテーマに取り上げました。特にエンタメに関するNFTの話題がメインになっていましたが、今度は少し角度がちがいます。『著作権を認める側』の話がからんできます。
まずはこちらを見てみてください。
これはリーガルテック(株)の子会社“Tokkyo Ai”が2022年2月に『IPNFTマーケットプレイス』を立ち上げる、という内容。NFTは分かりますが、IPというのは何か。これは「知的財産権 (intellectual property)」のことです。つまりこの記事はついに『日本で知的財産を売買できるNFTの取引所ができた』ということです。
この取引所で扱われる『知的財産』というのはどんなものかというと、著作権だけでなく、特許・実用新案・デザイン・意匠」「商標」など。
(http://www.ippjp.com/web/tyosaku.html より引用)
この類のものが、ブロックチェーンの技術によって手軽に売買できたり、ライセンス化して定期利用できたりする、そんなサービスです。そう聞くと何やら仮想通貨界隈で有名な“OpenSea”の知的財産バージョンか、というイメージですが、これは国内に限ったものですので、国際特許とはまた別の話ですので、おそらくプライベートチェーンかと思います。
そして、今回は私たち個人レベルの話というより、むしろ企業のビジネス利用がメインの話になります。企業、大学、研究機関が出品し、それを企業が購入してそれを使って商売をする。そのためのNFTです。これら知的財産がNFT化されると、存在のしかたが大きく変わります。主に挙げると
・知財が資金調達の担保になる
・知財が収入源になる(ライセンス等)
・知財のやりとりが活発になる
・知財の透明性や信頼性が高まる
そもそもブロックチェーンというのは、改ざんができない、さらにはデータを載せて自動で契約を結べる、そんな特長があります。すると第三者が立ち会って行って行うような事務手続きを大部分省くことができます。そして、売買がスムーズになれば、業界全体にスピード感が生まれて経済活動が活気づく。そんな良さがありそうです。
また、今までこういった知的財産の取引では、企業がトラブルを回避するために念入りに下調べをするので、多くの時間がかかっていました。そのために専門性の高い弁理士がかかりっきりになって、引っ張りだこ。人手も不足していたそうです。ですが、ここにはブロックチェーンだけでなくAIの技術が組み合わさっているので、調べる作業も効率化されています。ということで、世の中的にもニーズがありそうななサービスです。
また、商標出願にかかる費用というのはかなり高く、1件でも数万円かかります。それゆえ中・小規模事業者にとってはハードルが高いものだったそうです。それも従来の商標出願は紙ベースのアナログなやり方だったため、この手続きにも多くの時間を割いていました。ですが、こういうデジタル技術の組み合わせによって革新されそう、ということでまさに今流行の『DX(デジタルトランスフォーメーション)』です。
いままでわたしたちが見聞きするNFTは、個人が所有するタイプという印象が強かったですが、今回紹介したのは、企業が取引するB2B市場のNFTというのもある、という1つの例でした。これだけでも、もっとNFTの活用範囲、可能性は広く見ることができるように思います。
また、今回のTokkyo.AIさんの話はあくまで民間企業の動きでしたが、今後間違いなく関わってくるのが国です。経済産業省も特許庁もこの法律の関わる分野にテクノロジーを取り入れることを検討しているようで、課題はあるもののこの法律とブロックチェーンの相性のよさを活かしていくはずです。
ということで次回はここからさらに広げて、法律もからみ、公的機関もからむ、私たちに密接に関わるブロックチェーンの話をしていこうと思います。かなり意味深な内容になっていきます。お楽しみに💦