利用される
『風の時代』その2

前回(『利用される風の時代 その1』)について、記事を続けます。(前回の記事はこちら↓)

利用される<br>『風の時代』その1

 前回は、『風の時代』に私たちがチューニングするための材料、行動指針を紹介してみました。 このように最近『風の時代』を連呼している私ですが、一方で考えなければい…

 前回お伝えした、今進みつつある社会変化の兆し。それが『風の時代』を利用して進められているのでは、という点について詳しく考察していこうと思います。

これは以前の記事で『地の時代』から『風の時代』に向かうにあたり、時代性が全く変わってくることを説明する際に使ったスライドです。ここでは対照的なキーワードを並べることで、今後は今までと180度違う時代になる、ということを取り上げました。そしてそこに前回のブログ記事で触れた、今向かいつつある時代を表すキーワードを私なりの考えで重ねてみました。

さて、右側に赤字でつけ加えたこれらのキーワード、どこから取ったものかというと、こちらの本です。


『グレート・リセット

(ダボス会議で語られるアフターコロナの世界)
クラウス・シュワブ、ティエリ・マルレ

 読んだことがある方もいるかもしれませんが、この本は“お風邪騒動”が始まってまもなくの2020年10月に発刊された本で、今後の時代を具体的に読んでいる”予言書”のような内容になっています。そして、この本の中にある文言を見れば見るほど『風の時代』の特徴を言い表すような特徴が見えてきたのです。つまり、私が言いたかったのは、『風の時代』とダボス会議が掲げる『グレート・リセット』は非常に似ている、ということ。これが今回の記事の結論なわけです。

 では❶から❻までを解説しながら、その接点に迫っていきたいと思います。

❶ 精神的(非接触・仮想空間)
 こちらグレートリセット本では「接触確認(コンタクトトレーシング)」「接触追跡(コンタクトトラッキング)」こんな言葉が書かれていて、これがうまく普及すれば「間違いなく新型ホニャララ対策の鍵となることが分かっている…」と書かれています。このように監視、追跡の必要性はすでにダボス会議で語られていました。

どうやら今後の世界では、私たちは感染予防のために人同士の接触を極力拒みながら生活しなければならないようです。そしてもし接触があれば追跡をされる。こうすることで、お風邪は予防できるわけです。

ですが従来の生活から比べると”新しい生活様式”は非常に息苦しく、やがては、外出や接触はリスクなのでわざわざしたいとは思わない。そのほうがマスクなどの予防対策もしないで済む。ズームのようなオンラインでの活動が気楽。という考え方に変わり、ますます非接触型の生活が進むことが容易に想像できます。最近話題になっているメタバースもその1つの流れに組み込まれている可能性は十分あります。

つまり、いままで物理空間で行われていたことを、非接触で済ませられる仮想空間を創出することで、皆がより良く生きる社会にする。もう時代が求めているかのような流れ、人々のコンセンサスがすでにできあがっている気がします。

❷ 多様性(SDGs・ESG)
 そして今は「多様性」という言葉も大切なキーワードとして語られるようになってきました。この言葉は“環境問題”とセットで浸透してきました。地球を守ろう、脱炭素、脱温暖化、ひいては絶滅危惧種を守るような“生物の多様性”を守る。それが人間の人種や信条、性別などのマイノリティを差別しない、という“人の多様性”という意味にもつながります。そしてこれらのことは興味深いことにSDGsESGでもセットで語られて、近年急速に広められてきました。また、このSDGsはダボス会議では全面的に肯定していることを下記のリンクでも確認できます。

https://www.crowd-realty.com/glossary/e/esudi-ji-zu/11/

今後、この『多様性』を積極的に肯定して、様々な違いも尊重するようになる社会になれば、やがては少数派(マイノリティ)への批判、口撃は“差別”を助長するもの、許されないものになっていきます。社会全体で「いじめ」を防止する機運が高まっていくわけです。これら否定、批判意見が許されなくなる世の中の流れは、すでに私たちの身近なところにも見えてきました。いつの間にかYouTubeの“bad評価”が無くなっているのに気づいていると思います。これにはどんな意図があるのか分かりませんが

多様化→人権意識→否定・批判撲滅→言論統制

こんな流れの中にあったらどうでしょうか。「個人の中傷記事はダメ」「人権侵害だ」と言いながら、必要な意見までが伝えられず、議論すらできなくなる。人々が当たり障りのない言葉しかしゃべれなくなる。もし不適切な内容だ、とAIが判断すれば削除される。これもまた“監視”の対象になるのではないでしょうか。

❸ 横型社会(新しい資本主義)

 最近どこかの首相がよくこの言葉を使っていますが、この言葉はグレートリセット本、ダボス会議で言われている「ステークホルダー資本主義」とほぼ同義語だと考えられます。

まず、ダボス会議の「ステークホルダー資本主義」というのは、ステークホルダー(利害関係者)を大事にしよう、従業員の健康や安全、職場環境の改善など、企業統治の方法をより良くしていこう、分かりやすくするとこんなイメージで進められる資本主義です。今まで企業と従業員の間では、力関係的には企業が強く、従業員が弱かった。ですが、従業員の待遇をより良いものにしていく。

すると何が起きるか。今まで作られてきた“縦型”関係で成り立っていた組織が、しだいに"横型"になっていきます。パワハラ、セクハラ以上の労使間の争点が増えていき、法整備も進められていきます。また、労使間だけでなく株主などの投資家もこれと無縁ではなく、投資家の取り分も見直されていく。すると、今後は世界的に投資家、経営者、労働者の差がどんどん縮められていくのでは、と見ています。ちなみにグレートリセット本には「ステークホルダー資本主義=ESG」と書かれていますので、この辺りもまた理念が共通しているようです。

一方、日本で言われている「新しい資本主義」というのは、どういうものなのか。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai1/shiryou3.pdf

内閣官房のホームページを見ると、このように書かれています。上のリンクを見るとよく分かりますが、上のスライドの赤線部分だけを見ても分かるように、この「新しい資本主義」のメインテーマは『分配』ということが分かります。現政権の「金融所得課税」も旧政権の「同一労働同一賃金」などの施策も同じ流れにあるものと見ていいかと思います。

すると日本は「新しい資本主義」のもと、関係者全体の『再分配』が進み、平等意識が高まっていきます。これは”資本主義”というよりも”社会主義”に近いものを目指しているのが分かります。そして今回これが、縦型社会から横型社会への移行、『風の時代』の特徴に似せている、と捉えてみたわけです。

少し長くなってきたので今回はここまでにしますが、この❶から❸の項目を読んでいただき、今の時代の向かう先は『風の時代』に似た“グレートリセット”、ということは少し伝わったかと思います。次回は❹から❻までの項目を解説していこうと思います。もしよかったら次回もお付き合いください。

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