Weekly XDCダイジェスト vol.51 (2023.2.26-3.4)
こんにちは。今回は定期コーナー。先週のXDCネットワークの動向についてXDC Foundationがまとめた下のツイートをもとに、わたしなりに日本語で解説を加えながら定期発信する回になります。
仮想通貨XDCについてまだ知らない方の入口にしていただいたり、すでにお持ちの方は最新動向を追うための1つの情報源にしていただけたらと思います。では先日発表された2月26日から3月4日までの動きを紹介していきます。ではさっそく参りましょう!
《THIS WEEK IN XDC (2023.2.26-3.4)》
今回は3つのトピックがありました。太字が直訳部分、その後にわたしが僭越ながら解説を付け加えていきます。
Topic.❶『XDC NetworkのXIPプロセス』
……XIP(XDCネットワーク改善提案)は、XDCネットワークの改善を提案する重要な要素であり、Atharv Chandratreがその仕組みと重要性について詳しく説明しました。
1つ目のトピックは、こちらのAtharv Vhandratreさんの動画を取り上げたものです。
この方の番組の中でも、今回は「XIP」というXDCブロックチェーンの改善や提案とは何か、について改めて周知するような内容になっています。
昨年9月にXIP初めて誕生しましたが、それ以来XDCの安すぎるガス代を調整したりバーンメカニズムを取り入れたりすることについての議論が開発者コミュニティ主導行われるようになりました。(そもそもXIPは、という方にはこちらを↓)
今回はこのXIP改善提案について、改めて周知するために3分40秒程度にまとまったこちらのコンテンツを取り上げています。
動画には英語字幕もありましたので、これを和訳してお届けしたいと思います。ぜひXIPとは何か、を解消する材料にしてみてください。
『XIPとは、XDCネットワークの改善提案の略です。このビデオでは、XIVとはそもそも何なのか、どのように機能するのか、そして、もしあなたが自分自身のXIPを作りたいと思ったときに必要なことは何かなど、このビデオに関する重要な情報を解説していきます。
では、XIPとはいったい何なのか?
XIPは、XDCコミュニティメンバーによって提出された、暗号通貨とスマートコントラクトの改良を提案する文書からなる提案です。編集者チームがこれらのXIPをレビューし、どれをアップグレードの可能性に進めるか決定します。
XDC XIPは、一般的に多くの研究論文に似ており、要約、動機(基礎となる理由)、技術仕様を含んでいます。さらに、後方互換性、セキュリティに関する情報、テストケース、理論的根拠も含まれます。
では、XIPはどのようにして獲得するのでしょうか?
XIPは、コミュニティのメンバーであれば誰でも作成・提案することができ、GitHubに投稿することができます。その後、XDCコミュニティのメンバーによって議論され、承認のためのプロセスを経て、承認されます。
これには、編集者の前でレビューすることも含まれます。また、フォーラムメンバーやXDCの愛好家も提案について議論し、書き手に貴重なフィードバックを与えます。このプロセスの例は、近々このビデオで紹介する予定です。
では、XIPが採用されるかどうかは誰が決めるのでしょうか?
定期的に、XDCコア開発者チームのメンバーを含む編集委員会が、新しいXIPを審査します。XDCの場合、XDCコアデベロッパーは現在、Xdc.devウェブサイトとXDCコミュニティデベロッパーDiscordに存在する人々として認識されています。
Xdc.devウェブサイトのJohn McBeeによる素晴らしい記事によると、「XDCコアデベロッパーは、このビジョンを共有する人たちと定義することができます。目標は、XDCネットワークを技術的に最高の状態に保つことです。
XDCネットワークの技術的な方向性や仕様について、コミュニティのコンセンサスを育むことを使命とします。
作業内容は主に、コミュニティのコンセンサスによって受け入れられる、質の高いXDCネットワーク改善提案。XDCのコアメンバーは、以下の5つの原則を共有することが基本的な前提となっています。
①オープンプロセスであること - 関心のある人は誰でもネットワークに参加でき、何が決定されているかを知り、その問題に対して自分の声を届けることができる。
②個人の参加 - メンバーシップは形式的なものではありません。XDCは組織、企業、政府、利益団体ではなく、個人のグループである。
③技術的責任 - XDCコア開発者は、XDCネットワークプロトコル仕様のすべての側面に対して責任を負います。
④技術的能力 - XDCコアデベロッパーは、必要な能力がある提案については合意を求めます。XDCコアデベロッパーは、あらゆるソースからの技術的に有能な意見に耳を傾けることをいとわない。
⑤大まかなコンセンサスと実行中のコード - コンセンサスとは全会一致や多数決ではありません。むしろ、参加者の技術的判断と、私たちの仕様を実装・展開した実世界での経験を総合して判断するものです。
それでは、XIPとは何かということが分かったところで、XIPの公式サイトにアクセスして、XIPのプロセスを簡単に見て、過去のいくつかのXIPがどのように機能していたかを見てみてください。
XIPに関するこの動画を最後までご覧いただきありがとうございました。このビデオで何か新しいことを学んでいただけたなら幸いです。』
(動画の和訳は以上です)
XIPの改善提案は、今後DAO化するXDCにとっては重要な意思決定方法の一つですので、このタイミングで改めて周知する理由にもうなずけそうです。
Topic.❷『Fathomの紹介とソフトローンチ』
……XDCの上に構築されたDeFi流動性プロトコルであるFathomは、最近ドバイで導入とソフトローンチを完了しました。Fathomは、XDCネットワークに持続可能な流動性をもたらすことを目的としています。
2つ目のトピックは、今年4月にローンチ予定のXDC上で構築されるDeFi(分散型金融)サービス『Fathom』について。
Fathomには、流動性ステーキング、実物資産のトークン化、過剰担保ステーブルコイン、レンディングサービスなどを含んだ「複合的なDeFiサービス」を展開するプロトコルです。(なお、こちらが公式にXDC上で発表された際の記事です↓)
そのFathomが今回はソフトローンチ(新サービスを地域などを限定した試験的な公開をすること)を行った件についてです。
こちらは、2月23日にUAEのアブダビにあるフリーゾーンの一角(TradeFinex office)で行われました。
先ほどのビデオでは、アドバイザーAndre Casterman氏、XinFinの創業メンバーAtul Khekade氏、COOのSunil Senapati氏など、XDCの主要メンバーが軒並み顔をそろえているのが見えました。
このメンバーの結集具合いは、一体何なのか。正直一般的なDeFi (分散型金融)がローンチされたとしても、これだけのリアルイベントは伴いません。するとこれはただのイーサリアムの後追いではなくそれ以上の何かなわけですが
結論から言うと、このFathomは貿易金融のユースケースと結びけたもので、XinFinが兼ねてから温めている貿易プラットフォーム「TradeFinex」の一翼を担うものです。
クリプトネアDさんのツイートでもそのことが触れられていますが、これにはFathomで扱われる過剰担保型ステーブルコインの $FXD が鍵になります。
このツイートの $FXD の元祖とも言えるステーブルコイン $DAI というのは、イーサリアム上に発行された企業の短期資金調達に使うことができるDeFiなのですが、これを貿易での融資をユースケースに当てはめて用意したのがFathomです。
そして、このステーブルコイン$FXD の担保の中身に注目です。
これはFathomのホワイトペーパー(https://gist.github.com/BaldyAsh/3676a18b003758057f634c9af2cfe49a#9-roadmap)の抜粋ですが、
$FXDの担保は、レイヤー1ネイティブトークン$XDCだけでなく、$TRADA (セキュリティトークン)、$CGO(金担保トークン)、$XRP 、その他のRWA (現実世界の実物資産をトークン化したもの)が含まれる予定です。
これだけの担保に支えられたステーブルコインというのは、今騒がれるステーブルコインとは一線を画して安定感が違ってきます。このことを狙って次々と流動性が投入されていく設計であることが分かります。
そしてさらにいえばFathomには「流動性ステーキング」というXDCのマスターノードを使った収益機会を統合されるなど、今のイーサリアム上に構築されているDeFiプラットフォームの要素をフル投入した様相も呈しています。
これらのことからも、今後は機関投資家がこのFathomを使って安定的な収益を上げ、一方で貿易で今まで短期の資金調達に困ってきた中小企業たちが銀行の代わりに利用する仕組みが、まもなくローンチするということでした。
以上、Fathomのソフトローンチに乗じて、今後のFathomの展望を今ある情報から整理してみました。
Topic.❸『XDCエコシステムチャット』
……XDCネットワークの開発者であるクインシー・ジョーンズは、XDCコミュニティの開発者を集めることを目的としたXDCエコシステムチャットTwitterスペースのシリーズを開始しました。このチャットは、XDCで構築されたアイデアやプロジェクトについて議論し、協力することを優先します。
3つ目のトピックは、新たなTwitterスペースについて。
今回のスペースの主旨を序盤にこう説明していました。
「XDCネットワークに深く関わっている他のプロジェクトに興味を持っている人たちに向けて、自分たちが築いているものについて詳しく説明したり、実際に多くのプロジェクトで一緒に働くという意味で、他の参加者とコラボレーションできるように、定期的、半定期的に開催していきたい」
「XDCプロジェクトを秘匿なものにするのではなく、人々が協力し合って自分の取り組みを詳しく説明することを目的にしています。」
これは何が言いたいのかというと、今後はXDC Foundation(財団)が主導するのではない、コミュニティ同士でつながっていく場を作りたい、ということです。
財団は1つしかありませんが、プロジェクトは何百と出てくることで、どんどん分散型のコミュニティに移行する。だからこのTwitterスペースを、コミュニケーションツールの一つに使ってほしい、とのことでした。
そしてその1回目の内容ですが、前半部分で触れられていた「不動産のトークン化の課題や展望」について少しダイジェストしておこうと思います。(Fathomやその他のプロジェクトともいつか繋がりそうな話題でしたので)
・不動産をトークン化するスペースで一般的に何が起こっているのか?
・従来の不動産投資は、不動産の所有者がSPV(特別目的事業体、という不動産などを投資商品にするために作る会社)を分社化することで責任・税務の所在と所有権を区別している。
・そしてこのSPVを設立するためのコストは、物件ごとに非常に高額になる。
・その解決策としてブロックチェーンの可能性がある。オフチェーン資産のトークン化、XDCネットワークはそういうアセットを支えるネットワークであることは間違いない。
・今の制度で不動産をトークン化したい場合、政府の証書の記録局をアップグレードしなければならない。
・株式や証券と同様に不動産のトークン化でさまざまな人にとって障壁となっているのが、チェーン上でさまざまな資産を認識する必要があること。
・このシステムは今後大規模に実装されるのは時間の問題である。特に多くの西側東側に属さない第三世界の国々が実際に素晴らしい不動産とブロックチェーンのアプリケーションを開発しているのを目にしている。
・なぜアメリカはそれができないのだろうかと疑問に思うが、その大きな理由は多くの異なるレジストリや異なるシステムが使われていて、それが標準化されていないから。
・米国でも実際にチェーン上で文書を記録できる法律が成立し始めたら、不動産分野でのイノベーションの波が押し寄せてくる。
・これは価格が上昇することを意味するのではなく、テクノロジーを様々な用途で機能的に使用することが焦点になる話。
・身分証明書や書類の提示、異なる書類の検証、異なる身分証明書の購入などをさまざまな企業がプラットフォーム上に構築することで、ネットワークの普及を実感できるものとなる。
・規制をクリアするアプリケーションはデジタルIDによって解決される。デジタルIDのような規制環境の繁栄を可能にするコンポーネントが登場すれば前進する。
(以上が不動産トークン関係の内容です)
他にもアプリケーション開発について、アプリストアに複数の異なるブロックチェーンアプリケーションが登場し続けた場合、行き着く課題はユーザーの使いにくさが必ず残る。
いつかアプリケーションをダウンロードしなくても、QRコードでスマートコントラクトのすべての手段と対話できる手段を持つことができる、という可能性についても語られていました。
以上、今後ともXDC Foundationではなく、コミュニティ主導で展開されるこれらの話題にも期待し、耳を傾けてみたいと思いました。
以上、今回の記事では3つのトピックを解説させてもらいました。
1つ目は、XIPプロセスを多くの方に参加するための心得。2つ目は、Fathomのソフトローンチ。3つ目は、新しいコミュニティ発のプロジェクトを支援するタイプのTwitterスペース発足について紹介しました。
また、ダイジェストには取り上げられなかった、この週のXDC関連ツイートも掲載しておきます。
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次週も噛み砕いてお伝えできればと思っています。どうぞお付き合いください。(前回の記事もぜひご覧ください↓↓↓)
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