ブロックチェーン革命❽「分散型IDとは?」
こんにちは、マスオです。
今回の題名はブロックチェーンが変える未来の9回目。「分散型ID」というものを特集したいと思います。
昨今GoogleやFacebook、LINEといったウェブサービスではユーザー情報が漏洩する事態が繰り返し起きていて、社会的な問題として注目を集めて・・・久しくなりました。
これはIT企業だけの問題ではなく、たとえば楽天、TSUTAYA、森永製菓など、企業全般にも当てはまります。原因は人的ミスだけでなくサイバー攻撃などありますが、その対策のために企業が多大なコストをかけている実情もあります。
今はちょうど、企業も顧客情報を保有することのデメリットを感じていて、今までのようなビジネスモデルを問い直す過渡期に来ています。
ちょうど、Web3の文脈で考えると分かりやすいですが、Web1の時代(1990~2004)は企業の提供するサービスに対して個人が1つずつIDとパスワードを用意していました。
それが今度、Web2の時代(2005~2021)ではApple IDでサインインするなど、巨大テック企業で使ったIDを様々なサービスで共有するカタチにもなりました。
そして今はWeb3の時代に差し掛かり、ブロックチェーンという技術が登場したことで、これらの課題を解決しようとするフェーズに入ろうとしています。考えてみるとよくできたこの流れ、の中で『分散型ID』のお出ましです。
今回はこの分散型IDがどのようなニーズで世の中に導入されていくのかも含めて紹介していきます。できるだけ平易な言葉で解説できるよう努めていきます。どうぞお付き合いください。
まず、今回紹介する「分散型ID」とは何か、簡単に説明します。
先ほどの図でも表したように、いままで企業に差し出して企業が管理してきたデータを、今度は預けることなく“自己管理する”仕組みのことです。
時にDID(Decentralized ID)と呼ばれたり、SSI(自己主権型ID・Self-Sovereign ID)と呼ばれたりしていますが、ここでは同じ意味として扱いたいと思います。
仕組みは仮想通貨のウォレットと同じ、と説明すれば理解しやすい人もいるかもしれません。念のため説明を加えると
仮想通貨のウォレットというのは、自分のお財布に“住所(アドレス)”があってそこで仮想通貨のデータは、書き換えをされたりコピーされたりすることなく保管できる、こんな仕組みになっています。
そして、金庫で言うところの鍵に当たる「バックアップ用フレーズ」さえあればいつでもどこでもその中身を復元、取り出しができる、というタイプの保管方法になります。
ですが一方で、この「バックアップ用フレーズ」を他人に知られたら、鍵を渡したようなもの。絶対にアカの他人に知らせないように自己責任で管理する、というが注意点です。
そして今回紹介する分散型IDというのは、補完するものが仮想通貨から個人データに置き換わったようなもの。それゆえ、元データは偽造もコピーもされないで管理ができる、というわけです。
この仕組みを活用すると、元データが「手渡される」のではなく「認証に使われる」だけ。
車掌さんが電車内で切符を拝見、みたいな感じで提示して完結するイメージでしょうか。これがネット上のサービスでありながら相手の手元にデータを残さないで済む。この状態のことを
「ゼロ知識証明」
と呼んでいます。提示したデータは相手に知識として残ることなく(ゼロ)証明が完結する、ということでしょうか。この技術を使うことで
「自分の情報は自分の手元だけに置ける」
「必要以上の情報を提供することがなくなる」
こういうメリットが得られます。
これは、NFT(ノンファンジブルトークン)を使った会員証の仕組みにも似ています。あるNFTを保有していればそれがパスポートのように機能する、というのはもうすでにあちこちで使われていますので、その延長で考えれば分散型IDのイメージもわきやすいかと思います。
これによって先ほど触れた企業の個人情報漏洩の課題が解決できるわけですが、この分散型IDの活用範囲はとても広いです。
ではどんな場面にこの分散型IDが効果を発揮するのか、少し具体的なケースを紹介したいと思います。
❶安全に戸籍管理できる
この分散型IDを国のインフラとして導入することで、国からプライバシーを守りながら、国のサービスを利用できる。
今ある日本のマイナンバー制度というのは、銀行口座や運転免許証、健康保険証などと紐づけようとしているのはご承知の通りかもしれません。あたかも個人のプライバシーを無くすような仕組みになっていますが、分散型IDの仕組みを使えばそうならずに運用ができそうです。
また、未だネット環境が整備されていないアフリカ諸国などでは、戸籍すら発行できていない国も存在します。そういう国のインフラにこの分散型IDを導入することで、今までできなかったことができるようになります。
たとえば、これによって子供たちの教育制度を整備。学籍証明、成績証明が行えると、将来的にどんな子も世界をまたいで活躍できる機会が得られるかもしれません。
それが、このカルダノがエチオピア政府と提携して実装しようとしている「Atara Prism」という分散型IDサービスです。このサービスはカルダノのブロックチェーンのレイヤー2を活用して運用されていくそうです。
❷IoT社会・スマートシティ化
こちらは、CollaboGate Japanがエンタープライズ(企業)対応の分散型IDプラットフォーム「UNiD(ユニッド)」のパートナー企業募集開始、という記事です。
この分散型IDを活用すれば、ウェブ上の取引相手やデータを信頼することができるようになります。具体的にはIoT社会、スマートシティ、金融、ヘルスケア、食品メーカーなどでのユースケースがあるようです。
❸シェアリングエコノミー
これ一般社団法人シェアリングエコノミー協会が作成した、経済産業省・デジタル庁への提案資料です。
黄色で示した部分にあるように、シェアリングエコノミーにおいては「本人確認は必要不可欠」とあります。そして、「サービス間で個人情報を共有せず、本人確認事実のみを共有」とあります。
このように具体的にどう分散型IDを扱うのか、というイメージも示されています。(あとはこれが「マイナンバー」をベースにしていないことを祈るのみ・・・)
このように国も「分散型ID」導入を視野に入れてはいるようです。
そして、あの有名な中央集権型企業も「分散型」の取り組みをしている、という記事がありました。
Microsoftもこのような分散型IDプラットフォームを目指して動いていたのは意外でした。
このサービスによって世の中の企業たちが今までのように「個人情報を提供しなくてもいい」「KYC(本人確認)を徹底させなくてもいい」。やはりコスト面でも合理的なのかもしれません。
ちなみにこのMicrosoftのサービスは、なんとビットコインのレイヤー2『ライトニングネットワーク』を使っているそうです。導入はどのチェーンでも手軽にできるようですね。
そしてすでに他に世の中の有名企業も参入しています。たとえばAccenture、Consensys、Blockstack、Hyperledgerといったブロックチェーン関連企業もこのようなサービスの提供に動いているとのことです。
以上、今回は分散型IDサービスについて特集してみました。今後世の中というのは「監視社会」へ向かう?というイメージが私にはありました。しかしこの仕組みが浸透すれば決してそんなことはないのかもしれません。
何より私たちがこういうサービスを選ぶことによって、自分の情報は自分で管理する未来になるようにも思いました。この分散型IDという考えを少しでも広く普及させたい、そう思った次第です。
また今後もブロックチェーンによる技術革新を特集していきたいと思います。乞うご期待ください✨