『ISO20022』を専門用語なしで解説!❷
こんにちは、マスオです。
昨日は『ISO20022』という今後重要になるキーワードについて、導入部分を解説させてもらいました。
まずこれは前回にも紹介した『ISO20022』導入のメリットをまとめた内容です。
前回は❶から❹について主に解説しましたが、今回はこの中でも❺、❻について。ISO20022によってなぜ『マネーロンダリング』が抑止できるのか。そしてそのマネーロンダリングに使われることが懸念されている『仮想通貨』とISO20022の接点が見えるよう説明していきたいと思います。
まず、前回の内容でISO20022の意義はなんとなく分かってきたと思いますが、それがどんな仕組みで動いているものなのかはイメージがしにくかった人もいると思いますので、まずはそれを少しクリアにしたいと思います。
喩えて言うと、こういうことになります。
ISO20022というのは「送金の目的」によって使う文書の書き方(フォーマット)を決めて、その様式を集めた辞書みたいなものと言ってもいいかもしれません。
世界の金融機関はこの辞書を見て、この書き方に則って使うかとで円滑な意思疎通を図る。
こうすることで今までパソコン上で様々な形式のファイルで送ったりしていたことで、データをいちいち自社システムに変換し直す。こういう作業が不要になるということです。
どんなフォーマットがあるのかというと、こちらの本家ISO20022のサイトに行くと、『メッセージのカタログ』にこういう内容が確認できます。
例えば、一番上の『カード管理』は"caad"などと、まさに辞書の索引で検索できるような短いコードで管理されています。カード管理に関連する送金については、この青い部分の「ダウンロード」からフォーマットを取り出して使う。みたいな仕組みです。他にもいろんな送金ジャンルがあるのでその一部を紹介します。
これが今現在全部で731種類あって、この用途に当てはまるメッセージ形式で送り合うように!とガチガチに決められているのが分かりました。
まるで金融界の世界統一規格、世界共通言語、この辞書の中に無い言葉は基本的には通用しないということです。
なんだかこれは「世界の道路交通法を統一した」みたいな喩えもできるように思います。
たとえば世界中の道路の標識を共通にしたり、右側通行・左側通行も統一。ナンバープレートも共通桁数で車両を認識。すると、どこかの国で取得した自動車免許は他の国でも使えるようになる。
こういうイノベーションが金融業界で起こることが予見できます。
今まで世界各地で作ってきたローカルルールがなくなるので、世界全体で”曖昧さ”がなくなります。
正しいフォーマットで送ればどこでも、機械でも読み取ってくれる。機械が読んでくれるなら送金メッセージの文字数を制限される必要もありません。
また貿易などで貨物に送り状(インボイス)をつける時にもISO20022で作られた文書を元にすれば、表記が全て同じになって便利です。
つまり、冒頭に触れた❺「情報量が多いものでもシステムで読み取れる」というのは、共通ルールがあってこそ、ということです。
そしていよいよ本題の❻、マネーロンダリングについて。今までの話からも見えてきたかもしれませんが、
・曖昧さがなくなり統一ルールになる
・処理の自動化、機械化が進む
ということは、非常に犯罪がしづらい状況になるのは想像できるかと思います。運転で言えば、世界中どこに行っても交通ルールが同じ。システムが防犯カメラのように作動して違法車両、違法運転をスクリーニング(適格審査)してくれる。本人確認(KYC)をしていない人は運転(送金)すらできません。
もはや、金融業界はISO20022によって、コンプライアンスを遵守しながら『監視社会』に入っていくということでもあります。
そしてマネーロンダリングの温床とも言われてしまっている仮想通貨。もし金融機関が仮想通貨を使うとなると、ISO20022と無縁にはなれません。
そこで仮想通貨の中でもISO20022に準拠した通貨がある、という話を聞いたことがあるでしょうか。
世の中には、選ばれし通貨、があるみたいな話です。……がこの表現には実は誤解があることがつい先日Twitterで話題になっていました。
こちらは仮想通貨界隈で有名なクリプトエリさんのツイート。
【翻訳】Swiftは2022年11月にISO20022を導入しました。金融機関は新しいISO20022支払いメッセージング標準を採用しています。2025年11月までに、送信と受信の両方のすべてのメッセージがISO20022に基づくと予想されます。「ISO準拠のトークン」などはありません。
ここに誤解を解く記述が見られます。そしてもっと前にもこのようなツイートがあったようで、これもバズっていたので紹介します。
これらのことからも「ISO20022に準拠した銘柄」というのは間違った認識で、肝心なのは今回お伝えしたような目的や用途にあったメッセージング(フォーマット)を使用しているかどうか、ということ。
ImpelというXDC関連企業のアカウントがこのように補足してくれています。
【翻訳】ISO 20022金融メッセージング形式には、XDCネットワークを介した送信を処理するために特別に設計および開発されたソフトウェアが必要です。コイン/トークンは必要ありません。ネットワークガス料金はXDCのみです。
仮想通貨をISO20022仕様で使うためにはそのネットワーク向けに開発された「ソフトウェア」を使う必要がある。大事なのは送る“もの(通貨)”ではなく送る“道(ネットワーク)”なのだということです。
すると、このISO20022という絵に取り上げられている仮想通貨銘柄は、独自のネットワークを構築しているということだったのですね。
私も今までブログやTwitterでも「準拠」「準拠」と言っていましたが、今誤解が解けました💦
以上、今回はISO20022というのは、『送金方法の辞書』のようなもので、この辞書にある目的・用途に合わせたメッセージの送り方を厳しく規定した国際ルールのことだったこと。そしてこのルールを世界の標準に適合していない金融取引は弾かれてしまい、その結果マネーロンダリングを抑止することになること、をお伝えしました。
そして今後、国や企業が本格的に仮想通貨を扱うことを発表する局面になった場合、その仮想通貨がISO20022のメッセージ形式に従って送れるネットワークを持っているか否かが問われるのだ、という内容を解説させてもらいました。
今後この知識がお役に立てば幸いです。
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